こんにちは、うるはです。
「コーヒー飲んでると、シミが増えるんだって」「いや逆に抗酸化だから日焼けに効くらしいよ」
……どっちですか、という感じですよね。
わたし自身、カフェインを毎日摂っているタイプで、コーヒーや紅茶がないと落ち着かない生活をしています。だから「コーヒーが肌にどう関係するか」は、他人事じゃなく自分ごとの疑問でした。
今回は「コーヒーで日焼け対策できるのか」という噂を、できることとできないことに分けて整理してみます。先に結論を言ってしまうと、「効果ゼロとは言えないが、日焼け止めの代わりになるものでは全くない」、という着地です。
なぜ「コーヒーが紫外線に効く」という話が出てくるのか
この噂のもとをたどると、たいてい「ポリフェノール=抗酸化物質」という話に行き着きます。
コーヒーにはクロロゲン酸という種類のポリフェノールが多く含まれています。抗酸化物質というのは、体内の「錆び」とも言われる酸化のダメージを抑える働きがあるとされているもの。紫外線が肌に当たると活性酸素が発生して酸化ダメージが起きるから、抗酸化物質を摂ればそれを防げる――という論理の流れです。
話の筋は、一応つながっているんです。
ただ、「論理が通っている」と「実際にそう使える」の間には、かなりの距離があります。そこを整理するのが今回の目的です。
紫外線のしくみと「抗酸化」が届く範囲
まず、紫外線の種類についてごく簡単に整理しておきます。
地表に届く紫外線には、主に UVB と UVA の2種類があります。
- UVB:肌の表層に作用。炎症(日焼けの赤み)を起こし、長期的にはシミや皮膚がんのリスクに関わるとされている
- UVA:肌の深い部分まで届く。細胞を酸化させ、UVBの作用を後押しする。シワや弾力低下(光老化)に関係するとされている
このうち、「抗酸化物質の摂取が関係するかもしれない」として語られるのは、主にUVAによる酸化ダメージの軽減の部分です。ただ、それでも注意が必要なのは、UVAが人体に与える影響は、UVBの1/1000程度にすぎないという整理がある点です。
つまり、「日焼けの主役であるUVBへの防護」という意味では、ポリフェノールの出番はほとんどない、ということになります。
紫外線ダメージ全体に対して食事の抗酸化がどう関わるか、もう少し広い視点で知りたい方は、こちらも読んでみてください → 「日焼け止めの前に食べておく」は本当? リコピン・アセロラ・ポリフェノールと光老化の話
コーヒーの主役成分に何が言えるか
コーヒー固有の成分として、特によく話題に上るのがクロロゲン酸とカフェインです。
クロロゲン酸(コーヒーポリフェノール)
試験管の中での実験(いわゆるin vitro実験)では、強い抗酸化活性が確認されています。ただ、飲んで体内に吸収されたとき、皮膚の組織まで届いてUVダメージを軽減するかどうかについては、現行のレビュー研究でも明確な結論が出ていません。「抗酸化力がある」こと自体は否定されていませんが、「それがそのまま肌のUV防護に使われる」という経路は、まだ確立されていないのが実情です。
カフェイン
こちらは少し面白い研究があって、マウスを使った実験でUVBが引き起こす異常細胞のアポトーシス(自滅)を促す可能性が報告されているグループがあります。ただ、これもマウスの実験段階であり、ヒトでの臨床試験での確認はまだ不十分な状況です。また、外用(塗る)カフェインの研究とごちゃまぜになって語られることもあるので、その点も注意が必要です。
まとめると、「コーヒーの成分がUVと全く無関係か」というと、そうとも言い切れない。でも「コーヒーを飲めば日焼けから守られる」という話には、現時点ではエビデンスが追いついていません。
逆の噂も片付けておく:「コーヒーで光に弱くなる」は本当か
逆方向の噂として、「コーヒーを飲むと肌が光に弱くなる」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
光に弱くなる現象(光毒性・光感受性)は、たしかに一部の植物成分(例えばセリ科の植物に含まれるソラレンなど)や特定の薬剤で起きることがあります。ただ、コーヒーはこれには該当しません。コーヒーを飲んだからといって肌が紫外線に対して過敏になるというエビデンスは、現状確認されていません。
ただ、間接的な話として、一点だけ。
カフェインには利尿作用があります。コーヒーをたくさん飲んで水を補給しない状態が続くと、体内の水分が不足しやすくなります。肌のうるおいは体内の水分状態と無関係ではないため、「コーヒーの飲みすぎ+水分補給不足」という状態が肌の乾燥バリアを弱めることはあるかもしれない、という程度の話はできます。
これは「光に弱くなる」とは別の話ですが、過剰な摂取が肌に全く影響しないとも言い切れない部分です。
お砂糖サイトとして外せない話:加糖コーヒーと糖化
最後に、このサイトの視点からどうしても触れておきたいことがあります。
ラテ、カフェオレ、シロップ入りのフラペチーノ系……。コーヒーをベースにした甘い飲み物は、1杯あたりにかなりのお砂糖が使われているものが多いです。毎日何杯もそれを飲む習慣がある場合、糖質の総量が気になることがあります。
糖質を過剰に摂り続けると、体内でタンパク質と糖が結びつく「糖化」が起きやすくなるとされています。糖化の産物(AGEs)は肌の弾力に関わるコラーゲンにも影響し、くすみや弾力低下と関連すると語られることがあります。
コーヒーそのものの話ではなく、コーヒーに何を足しているかの話になってくるんですが、「抗酸化のためにコーヒーを飲んでいる」つもりが、大量の加糖ドリンクになっているとしたら、ちょっともったいないかもしれません。
糖化と肌の関係については、こちらで詳しく書いています → 食べる糖と塗る糖は別物?お砂糖と肌の関係を整理してみた
まとめ:コーヒー好きのための正しい期待値
ここまでを整理すると、こうなります。
- コーヒーのポリフェノール(クロロゲン酸)には抗酸化活性がある
- ただし「飲んで肌のUVダメージが減る」という臨床的な確認はまだ不十分
- 「コーヒーで光に弱くなる」という話はエビデンスがない
- 加糖コーヒーの飲みすぎには糖化の観点から注意する余地がある
わたしの結論としては、「コーヒーを飲んでいるから日焼け止めをサボる」は成立しないし、「コーヒーを飲んでいるから肌が危険」も根拠がない。どちらの極端も避けて、外用のUVケアと保湿をベースに置きながら、コーヒーはただ好きだから飲む、くらいの位置づけが誠実だと思っています。
内側のケアが気になる方は、毎日の保湿の底上げとして外側からのケアも並走させるといいと思います。わたしが日々使っているシュガースクラブベースのスキンケアについては、こちらもどうぞ → お砂糖の保湿力のしくみ ― なぜシュガースクラブが肌にいいと言われるのか
ご注意:
– 本記事の内容は一般的な情報として紹介しています。肌の状態・健康状態には個人差があります。
– 食事・飲み物による美容効果については、医薬品・医療行為とは異なります。
– 肌に赤みやかゆみ、炎症など気になる症状が続く場合は、皮膚科への相談をおすすめします。