こんにちは、うるはです。
今日は、いつもとすこし違う話をしたいと思います。
このサイトでは、シュガースクラブやシュガーバスなど、お砂糖を使ったスキンケアを紹介してきました。でも、これまでの記事はすべて「大人の肌」が前提だったんですよね。
実は、わたしがお砂糖の保湿に興味を持つきっかけになった研究は、赤ちゃんの肌を対象にしたものでした。広島国際大学の山口求教授が農畜産業振興機構で発表された、乳幼児のスキンケアに関する研究です。
先にお伝えしておきたいのですが、この記事は「赤ちゃんにお砂糖ケアをしましょう」と推奨するものではありません。乳幼児の肌は大人以上にデリケートなので、新しいケアを試す前には必ずかかりつけの小児科医や皮膚科医に相談してください。
そのうえで、「お砂糖が赤ちゃんの肌を守る可能性」について、研究データをもとにお話ししていきますね。
「赤ちゃん肌」ってほんとうにきれい?
「赤ちゃん肌になりたい」——美容の世界ではよく使われるフレーズですよね。
わたしもずっと「赤ちゃんの肌=しっとりすべすべ」だと思い込んでいました。でも、山口教授の研究を読んで、そのイメージが大きく変わったんです。
教授はこう書いています。「赤ちゃんのお肌はきれい?」と尋ねると、ほとんどの人は「きれい」と答えます——でも、実際はそう単純ではないと。
赤ちゃんの肌には、わたしたちが知らない「弱さ」があるんです。
乳幼児の肌が乾燥しやすい理由
生後1か月まで — 守られている時期
生まれたばかりの赤ちゃんの肌は、お母さんの性ホルモンの影響で皮脂がしっかり分泌されています。だからバリア機能もある程度保たれている。
ただ、この時期は脂漏性湿疹(いわゆる赤ちゃんにきび)が出やすく、清潔に保つために石鹸やシャンプーで洗う必要があります。
生後2か月以降 — 守りが薄くなる時期
問題はここからです。
生後2か月を過ぎると、赤ちゃん自身の皮脂分泌がぐっと減ります。この状態は2歳頃まで続くとされています。
さらに、乳幼児の角質層は大人と比べてとても薄い。外からの刺激に対するバリアが、大人よりずっと脆いんです。
石鹸で洗うだけでも皮脂膜が流れて、角質層に「すき間」ができてしまう。そこにダニや雑菌が入り込みやすくなり、肌トラブルやアレルギーの原因になりうると研究では指摘されています。
日常にあふれる「刺激」
赤ちゃんの日常は、大人が思う以上に肌への刺激が多い環境です。
- 食べこぼしやよだれが口まわりに触れる
- おむつの中の湿気と摩擦
- 衣類のこすれ
- 入浴のたびに流れていく皮脂膜
皮脂が少なく、バリアも未熟な赤ちゃんの肌にとって、こうした日常の刺激一つひとつが負担になりうるということなんですね。
お砂糖で赤ちゃんの肌を守れるか — 山口教授の研究
研究のはじまり
山口教授の研究チームは、乳幼児のスキンケアに使える「安全で、手間がかからない素材」を探していたそうです。
そのなかで出会ったのが、お砂糖を原料にした基礎化粧品でした。使われていたのは、てん菜糖(北海道産の砂糖大根から抽出したお砂糖)をベースに、食用油でオイルコーティングしたもの。お砂糖80%、オイル20%という構成です。
お砂糖の持つ浸透圧の高さが皮膚の水分を保持し、オイルのコーティングが皮脂を補うことで、バリア機能を助けるのではないか——その仮説を検証するための研究が始まりました。
水分値の変化(2007年度の調査)
最初の調査では、保湿効果が確かめられました。
- 対象:生後3か月~4歳の乳幼児
- 使用群14名と未使用群14名を比較
- 沐浴時にお砂糖ケアを行い、30分後の肌水分値を測定
結果、使用群では30分後の水分値が統計的に有意に上昇していた(p<.01)とのことです。
皮脂量の変化(2008年度の調査)
翌年はさらに踏み込んで、皮脂量にも注目した調査が行われています。
- 対象:皮膚にトラブルのある乳幼児39名
- ケアの前と30分後に、からだの4カ所で皮脂量を測定
結果は、4カ所すべてにおいてケア後に皮脂量が有意に上昇(p<.01~p<.001)。お砂糖ケアが保湿だけでなく、皮脂量の回復にも関わっている可能性が示されました。
1か月間の継続で見えたこと
さらに、夏の1か月間、毎日入浴時にお砂糖ケアを続けてもらった結果——。
最初は「カサカサした肌」「掻き傷」「関節や首まわりの湿疹」「おしりのただれ」があった乳幼児たちの肌が、1か月後にはしっとりした状態に変化していたそうです。
参加したお母さんたちからは、こんな声も寄せられています。
- 「汗疹が出なかった」
- 「虫さされの傷がすぐに治った」
- 「お尻を掻くことがなくなった」
- 「下痢をしてもお尻がただれなかった」
これらはあくまで体験談であり、すべての赤ちゃんに同じ結果が出るとは限りません。でも、研究データと合わせて見ると、お砂糖ケアが乳幼児の肌にとって「穏やかな助けになる可能性がある」ということは言えるのではないでしょうか。
なぜお砂糖が赤ちゃんの肌に合うのか
研究の結果だけでなく、「なぜお砂糖なのか」というしくみも整理しておきますね。
浸透圧で水分を保つ
お砂糖(スクロース)の分子には水酸基(OH基)がたくさんついていて、水分子を引き寄せて抱え込む性質があります。肌の表面でお砂糖が水分をキャッチしてとどめてくれる——これが保湿のしくみです。
オイルコーティングで皮脂を補う
研究で使われた素材は、お砂糖にオイルをまとわせた構成でした。入浴で洗い流されてしまった皮脂膜の代わりに、オイルが肌表面を覆って水分の蒸発を抑えるはたらきをします。
食品だからこその低刺激
お砂糖は食べられる素材です。化学的な合成物質ではないという安心感は、とくに乳幼児のケアでは大きいのではないでしょうか。もちろん「食品=肌に安全」とは限りませんが、お砂糖が肌に対して穏やかであることは、長い使用の歴史が示しています。
医療の分野でも、お砂糖は褥創(床ずれ)のケアに使われてきた実績があります。傷口にお砂糖を充填することで、浸透圧で雑菌の繁殖を抑えながら治癒を促すという方法です。
入浴後がケアのタイミングになる理由
入浴やお湯での洗浄によって、赤ちゃんの肌からは皮脂膜が流れてしまいます。角質層にすき間ができたこのタイミングで保湿ケアを行うことが、バリアを補い直す意味で大切だとされています。
| しくみ | はたらき |
|---|---|
| お砂糖の水酸基 | 水分を引き寄せて保持する |
| オイルコーティング | 皮脂膜の代わりに水分の蒸発を防ぐ |
| お砂糖の浸透圧 | 雑菌の繁殖を抑え、肌を清潔に保つ |
おうちでできるベビーシュガーリングケア
ここからは、研究や実践ガイドで紹介されているケアの方法をまとめます。
大切なことを最初に: ここで紹介する方法は、研究や書籍で解説されている内容をもとに整理したものです。実際にお子さんに試す場合は、必ず事前にかかりつけの小児科医・皮膚科医に相談してください。赤ちゃんの肌の状態は一人ひとり違いますし、アレルギーや既往歴によっては合わない場合もあります。
基本のポイント
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| お湯の温度 | 夏38℃ / 冬39℃ |
| 塗布の厚み | 0.1~0.2mm(ごく薄く) |
| お砂糖と水の比率 | 80% + 20% |
| 動作のコツ | 「くるくる・サッサ」と軽いタッチ |
| タイミング | 入浴後、からだが温かいうちに |
こすらない、押しつけない
いちばん大切なのは「やさしく」ということです。大人のスクラブのようにゴシゴシはしません。指先で点を置くように触れて、薄くのばすイメージ。摩擦を増やさないことが前提です。
重点的にケアしたい部位
日常の刺激が当たりやすい場所を意識するのがポイントです。
- 首まわり(よだれや汗がたまりやすい)
- 肘・膝の内側と外側(衣類でこすれやすい)
- おしり(おむつの湿気と摩擦)
- 足首まわり(靴下や靴のこすれ)
成長に合わせたやり方
赤ちゃんの発達段階によって、ケアのしかたも変わります。
新生児期 — 洗面台やベビーバスで沐浴しながら。首がすわる前なので、安定した環境で短時間に。
首すわり後 — ママやパパの膝の上で。安定した姿勢で、ポイント部位にやさしく触れます。
おすわり~つかまり立ちの頃 — 浴室や脱衣所で。すべりやすさや冷えに配慮した場所を選んで。
どの段階でも共通しているのは、「短い時間で」「やさしいタッチで」「入浴後のタイミングで」ということです。
安全に続けるために — 守ってほしいこと
お砂糖ケアは穏やかなスキンケアですが、乳幼児の肌に使うからこそ、守っていただきたいことがあります。
1. 始める前にかならず医師に相談する
この記事でいちばん伝えたいことです。赤ちゃんの肌の状態は個人差がとても大きく、研究の結果がそのままお子さんに当てはまるとは限りません。かかりつけの小児科医や皮膚科医に相談したうえで、「試してみてもいいでしょうか」と確認してから始めてください。
2. 肌に異常が出たらすぐにやめる
赤み、かゆみ、湿疹の悪化など、少しでも気になる変化があったら、すぐにケアを中止してください。シャワーでやさしく洗い流し、症状が続く場合は小児皮膚科を受診してください。
3. 治療の代わりにはならない
アトピー性皮膚炎や重度の湿疹がある場合、お砂糖ケアの前にまず医師の治療を優先してください。お砂糖ケアはあくまで補助的なスキンケアであり、医療行為ではありません。
4. 使うお砂糖は粒子の細かいものを
上白糖やてん菜糖など、粒子が細かくて溶けやすいものが向いています。ザラメやグラニュー糖のように粒が大きいものは、赤ちゃんの薄い肌には負担になる可能性があります。
5. 衛生管理を徹底する
手作りでケア用のお砂糖ペーストを用意する場合は、清潔な容器を使い、できるだけ早く使い切ってください。長期間の保存は衛生面でリスクがあります。
まとめ — 研究が照らす、お砂糖のやさしさ
この記事のポイントをまとめますね。
赤ちゃんの肌は「きれい」なだけじゃない: 生後2か月以降は皮脂が激減し、角質層も薄く、大人よりずっと乾燥しやすい。日常の刺激からバリアを守る保湿ケアが必要とされています。
お砂糖ケアには研究データがある: 山口教授の研究では、お砂糖ケアを使った乳幼児の水分値・皮脂量がともに有意に上昇。1か月の継続で肌状態の改善も確認されています。
しくみもわかっている: お砂糖の水酸基が水分を保持し、オイルが皮脂膜を補い、浸透圧が雑菌を抑える。この3つのはたらきが、バリアの弱い赤ちゃんの肌を穏やかに支えます。
ただし、医師への相談が前提です: お砂糖ケアは補助的なスキンケアです。赤ちゃんの肌に新しいケアを始めるときは、必ずかかりつけの医師に相談してくださいね。
お砂糖が持つ保湿のしくみや、大人の肌でのケア方法が気になった方は、こちらもあわせてどうぞ:
- お砂糖スクラブの基本 → 「シュガースクラブとは? 効果・やり方・作り方をまるごと解説」
- 浸かるだけのケア → 「お砂糖のお風呂『シュガーバス』」(※011)
お砂糖の保湿力は、赤ちゃんの肌の研究から見出されたもの。その研究を土台にした大人向けのスキンケアが、北の快適工房の「みんなの肌潤糖〜クリアタイプ〜」です。てん菜糖をベースにした保湿アイテムで、お砂糖が水分を抱え込むしくみを日々のケアに取り入れたい方は、チェックしてみてくださいね。
※ みんなの肌潤糖は大人向けの製品です。乳幼児への使用をお考えの場合は、メーカーの公式情報を確認のうえ、医師にご相談ください。
