毎日念入りに洗顔しているのに肌荒れが治らない理由――皮膚常在菌という見えない守り手が壊れるとき

毎日念入りに洗顔しているのに肌荒れが治らない理由――皮膚常在菌という見えない守り手が壊れるとき

こんにちは、うるはです。

「ちゃんと洗顔しているのに、なんで荒れるんだろう」

この疑問、正直すごく共感します。一時期のわたしもそうで、「もっと丁寧に洗えばいいんだ」と思って、朝も夜も力を入れて洗っていました。でも、荒れは止まらなかった。

今考えれば、原因は「洗いすぎ」でした。そしてその理由が、肌の表面に住んでいる「見えない守り手」を壊してしまっていたからだと、あとになって知りました。


肌の表面には、見えない守り手がいる

わたしたちの肌の表面には、無数の細菌が住んでいます。「皮膚常在菌」と呼ばれる存在で、健康な肌には1平方センチあたり数百万個以上の菌が定着しています。

「菌=汚れ」というイメージがありますが、これは誤解です。

代表的な皮膚常在菌のひとつ、表皮ブドウ球菌は、皮脂や汗をエサにして脂肪酸を作り出し、肌を弱酸性(pH4.5〜6程度)に保ちます。この弱酸性環境が、黄色ブドウ球菌など有害な菌の定着を防いでいます。

皮膚常在菌たちは、外敵の侵入を防ぐ「生きたバリア」として機能しているんです。


アクネ菌は「悪者」だけじゃない

ニキビの原因菌として知られるアクネ菌(Cutibacterium acnes)も、皮膚常在菌のひとつです。

アクネ菌と聞くと悪玉のイメージしかないかもしれませんが、通常の量・バランスで存在しているときは、抗菌ペプチドを産生して他の病原菌の増殖を抑える機能も持っています。「善玉としての顔」もある菌です。

問題が起きるのは、アクネ菌が増えすぎたときです。

増えすぎたアクネ菌は酸素の少ない毛穴の中で増殖し、周囲の組織に炎症を引き起こします。「通常量では悪ではないが、増えすぎると問題になる」――これがアクネ菌の二面性です。研究は今も進行中で、「特定の株・条件下では」という前置きは必要ですが、単純に「全滅させればいい」という発想は現在の皮膚科学では支持されていません。


洗いすぎると、何が壊れるのか

ここが本題です。

念入りな洗顔で皮膚常在菌を過剰に洗い流してしまうと、弱酸性の環境が崩れます。すると有害な菌が定着しやすくなり、バリア機能が低下し、肌荒れや炎症が起きやすくなります。

特に洗浄力の強い界面活性剤が含まれる洗顔料やアルカリ性の石けんは、常在菌叢(常在菌のバランス)に影響しやすいと言われています。「清潔にしているのに荒れる」という見かけ上の逆説は、清潔にしすぎたことで守り手を失った状態として説明できることが多いです。

念入りに洗えば洗うほどいい、という発想が逆効果になるのは、こういうメカニズムがあるからです。

→ 洗顔習慣そのものを見直すヒントは毛穴ケアは「洗い過ぎないこと」から始まるに詳しく書いています。


シュガースクラブと常在菌――「頻度設計」が大事

シュガースクラブも同じ視点で考える必要があります。

お砂糖スクラブはターンオーバーを促す穏やかなケアですが、毎日・高頻度で使えば皮膚表面への摩擦が続き、常在菌の環境を乱すリスクがあります。

目安は週1〜2回。肌の状態がよくないとき・乾燥がひどいときはお休みする。この「やりすぎない」という選択が、スクラブの信頼性を長期的に高めてくれます。

加工済みのシュガースクラブ製品を選ぶひとつの利点は、粒径や配合濃度がある程度コントロールされていること。わたしが使っている北の快適工房「みんなの肌潤糖 〜クリアタイプ〜」は、週1〜2回のペースで使うには使いやすい設計だと感じています。

→ 引き算ケアの考え方については肌断食・引き算ケアの科学、ニキビ肌×保湿についてはニキビ肌と保湿の逆説も関連しています。


「清潔にしすぎない」というケアの姿勢

皮膚常在菌の研究は、まだ進行中です。すべてが解明されているわけではありません。

でも、ひとつ言えることは「肌を完全に無菌化しようとすることは、守り手を失うことと同じかもしれない」ということ。

清潔にすること自体が悪いのではなく、「適切な清潔さ」を保つ感覚を持つことが、肌との付き合い方を長く続けるポイントだとわたしは思っています。


肌の調子に異変を感じた場合は使用を中止し、皮膚科などの医療機関にご相談ください。新しいスキンケアを試す前には、腕の内側などでパッチテストを行うことをおすすめします。